期間:2026/06/27〜2026/07/03
今週の主役は間違いなくステーブルコインだった。Visa、Mastercard、Stripeを含む140社超が新ステーブルコイン「Open USD」の立ち上げを正式発表し、Circleの株価が1日で17%超下落。既存の決済大手が「発行体」側に回る構図が鮮明になった。一方で欧州ではMiCAの移行期間が7月1日に完全終了し、無認可業者の営業が法的に不可能に。ステーブルコインが既存の決済スキームに取り込まれる流れが定着。Swiftも個人向け国際送金の新フレームワークを稼働させるなど、決済インフラの地殻変動が続いた一週間。なお、コード決済・モバイル決済分野では今週大きな初報はなかった。
🪙 ステーブルコイン・デジタル通貨
Visa・Mastercard・Stripeら140社超が新ステーブルコイン「Open USD(OUSD)」を発表
- 6月30日、Bridge CEOのZach Abrams氏が率いるコンソーシアム「Open Standard」が、新ステーブルコイン「Open USD(OUSD)」の立ち上げを正式発表
- 参加企業は140社超。Visa、Mastercard、American Express、Stripe、BlackRock、BNY、BBVA、DBS、Standard Charteredに加え、Coinbase、Solana、MetaMaskなどクリプト勢、さらにGoogle、Shopify、DoorDashまで名を連ねる
- 発行・償還は無料・無制限、準備金収益をパートナー企業に分配する設計。パートナー企業で構成する理事会による共同ガバナンスを採用
- 稼働は「年内後半」を予定
発表当日、USDC発行元Circleの株価は17.55%下落し62.63ドルで引け。月間下落率は39%に達した。
Cripto Daily : https://cryptodaily.co.uk/2026/07/open-usd-shock-usdc-stock-trade
決済大手がステーブルコインを「使う」側から「発行する」側に回った歴史的転換点。準備金収益の分配モデルは、CircleやTetherが独占してきた収益構造への正面からの挑戦であり、ステーブルコイン市場の勢力図を塗り替える可能性がある。

EU・MiCA移行期間が7月1日で完全終了、無認可業者は営業停止へ
- 7月1日、EUの暗号資産規制MiCAの経過措置(グランドファザリング)期間が全27加盟国で終了。MiCA認可のない暗号資産サービス事業者(CASP)は、EU域内での規制対象サービスの提供を停止しなければならない段階に入った
- 規制前にEU域内で国内登録を持っていた事業者は1,200社超だったが、2026年5月時点でMiCA完全認可への転換率は18%未満
- 違反時は法人で**年間売上高の最大12.5%**の制裁金や、EU域内での営業禁止措置の対象になり得る
(*) MiCA(Markets in Crypto-Assets)とは、EU(欧州連合)が導入した暗号資産に関する包括的な規制枠組み。
MiCAは暗号資産の発行体やサービスプロバイダー(CASP)に対し、以下の明確な基準を設けています。
ーステーブルコインの厳格化: 準備金の保有や償還義務などを厳格化。
ーCASPの認可制: 取引所やカストディ事業者はEU加盟国の認可が必須。
ー情報開示(ホワイトペーパー): 発行体は詳細な情報の公表が義務付け。
(資本市場研究会より)
「規制ができた」段階から「規制で市場から退出者が出る」段階への移行。8割超の事業者が認可を取れていない現実は、EUクリプト市場の大規模な淘汰と再編が今まさに始まったことを意味する。
🌐 決済インフラ
Swiftが個人向け国際送金の新フレームワークを稼働、英4大銀行が世界初参加
- 7月1日、Barclays、HSBC、Lloyds、NatWestの英4大銀行が、Swiftの個人向け国際送金の新フレームワークに世界で初めて参加したと発表
- 送金額が中間控除なしで満額着金、多くの場合数分以内(現地システム対応時は即時)に到着、送金前に手数料と為替レートを確定表示
- まずはオーストラリア、中国、インド、トルコからの受取と、オーストラリア向け送金が対象。この取り組みは既に25カ国60行超が支持
企業間送金の世界標準だったSwiftが、リテール送金体験の改善に本格参入した格好。ステーブルコインが「安くて速い国際送金」を武器に攻める中、既存インフラ側からの反撃としても読める動きだ。
今週のまとめ:既存決済大手、ステーブルコインの「発行体」へ
今週を貫くテーマは「既存インフラとクリプトの境界線消滅」だ。OUSDにはカードネットワーク、銀行、資産運用、クリプト、テック大手が同居し、もはや「クリプト企業 vs 伝統金融」という対立軸は成立しない。同じ週にMiCAの移行期間が終わり、EUでは無認可業者の淘汰が始まった。規制が整い、大手が参入し、インフラが刷新される——ステーブルコインが投機の道具から決済インフラそのものへ変わる転換点として、2026年6月末は後々振り返られる週になるかもしれない。Swiftの動きも含め、「国際送金の値段と速さ」を巡る競争は一段と激しくなる。
📎 情報ソース
- Card networks, banks, fintechs partner on ‘low-cost’ stablecoin(6月30日)
- Stripe, Visa and over 140 other businesses to launch stablecoin to rival Tether and Circle — Fortune(6月30日)
- Circle’s Open USD Shock: Why a New Stablecoin Alliance Just Hit the USDC Stock Trade(7月1日)
- MiCA enforcement begins July 1 — Kraken Blog(7月1日)
- What the end of MiCA’s transitional period means for crypto businesses — Elliptic(7月1日)
- Barclays, HSBC, Lloyds, and NatWest among the first banks in the world to adopt new Swift framework — Business Wire(7月1日)
